以下

とりあえず感じたこととか確認できた事実っぽいものを羅列すると:

労働時間は長い。

間違いない。つーか、常識的な労働時間じゃ絶対に仕事が追いつかない。無理だよ無理。原因はいくつかあると思う。ただ、やっていることが特別に高度だからとか難しいからってわけではなくて、単純に見ないといけない指標とか処理しないといけない数値や資料が多い。単純作業だって積み重ねれば重労働。んで、報酬コストが高すぎるから大量の単純作業を大勢でこなすことができない。
あ、日系の投資銀行はそうでもないという話もあった。コスト低いから人も多いし。

給料は悪くないか?

少数精鋭の部隊でガバっと儲けるってモデルだし。その分個々に求められることは多いけど、給料だって悪くない。ただ1〜3年目の労働時間を計算して時給に直すとちょっと酷いことになるかも。インターンの経験と社員の話を合わせて考えるに、1日の労働時間は平均16時間程度。長期休暇はまぁ無い。それどころか土日もほとんど無い。月に休める日数が毎年1日ずつ増えていくと計算すると3年で休みは80日くらいか(1年目1日、2年目2日、3年目3日)。ちなみに365日×3年は1100日。どんなに酷いところでも日本の普通の会社に勤めればこの4倍は休めると思う。だって週休2日がほぼ程度確保されるだけで、月8日は休み。年100日×3年で300日は休み。
まぁそういうわけで、3年間で2000万円の給料をもらったとして、労働日数を1000日、労働時間を16h/日とすると16000時間。時給1250円。居酒屋のバイト未満ですね。
一方で普通の仕事はどうかというと、月給20万円・ボーナス6ヶ月とすると年にもらえるのが360万円。3年で1000万円。労働時間を計算すると労働日数800日、労働時間がやや長くて10h/日とすると8000時間。時給1250円。居酒屋のバイト未満ですね。
ま、ここでの問題は外資金融なんて商売に福利厚生の4字が存在しないところかなぁ。とはいえ、福利厚生がバスバス切られる昨今の傾向を見てるにあまり差がなくなる日も近いかもしれない。とりあえず純粋に時給ベースなら差は無いと考えてもいいかもれない。
でも学生のバイトじゃあるまいし、時給ベースじゃ普通考えませんけどね。同じ期間に倍の額を稼げるってのは揺るぎがたい事実。

能力は上がるか?

倍の時間仕事してるんだから上がらなかったらウソでしょ。多分単純作業の部分に関しては相当に上がると思う。クリエイティブな部分に関しては「努力次第」。仕事柄、全体を見渡して問題を見つけてそこに集中投資するような能力はつくと思う。ただビジネスの回し方とかについては全然じゃないかな。ビジネスの現場にいないし。

転職はすることになるか?

そもそも長居することなんて誰も考えちゃいない世界だから、まぁすることになるでしょう。30前にして3社転籍なんてのもチラホラ。事業会社に行く例もあるけど、大抵は金融の世界をグルグル回るみたい。つーか投資銀行で培った能力を事業会社に持っていっても殆ど役に立たないと思う。

案件数は

日系→安いのを大人数で沢山処理。
外資→高いのを少人数で確実に処理。
という住み分け中。ただ、徐々にその差は狭まってる模様。海外関連の案件に関しては外資優位が全く揺らいでない。

自由度

会社によってまちまち。インターンしたところは比較的ゆるそうだった。11時くらいになると徐々に社員も減っていたし。軍隊みたいなところもあるし、本当にフリーなところもあるとか。まぁなんだかんだ言っても組織だから集団行動できない奴は要らないでしょうが。

国際的?

いや全然。日本はその特殊性から「アジア」ではなく「日本」というマーケットの分類をされてる。法規制も特殊だし、意外に外資系の企業がいないってのもあるんじゃないかな。ああでも、海外の支社に資料請求をしたり上司が外人だったりってのはよくあるんじゃないか。
とにかく「国際的な仕事がしたい!」と思うなら違う業界を考えた方がいいと思う。商社とか流通とか国際協力とか。
投資銀行とかコンサルで国際的な仕事がしたいならアメリカや欧州にある本社に行けばいいと思う。

面白いか

これはもう、本人の主観だろう。実際にM&Aのことについて頭を使ってみたら、面白いなぁと思ったのは本音。とはいえ、これが世の中に数多在る仕事のなかで最も面白いかと聞かれればNO。だって執行部分には手が出せないんだもん。助言とか戦略の提案とかはしても「じゃ、実際やってみよう!」という部分に関われないのは正直言って「一番美味しいところを食べられない」んじゃないかと思う。なんでウチの先生たちが投資銀行とかコンサルを全く薦めようとしないかが少しわかった。知的好奇心は満たされる仕事だと思う。色々な会社の機密事項にも触れられるし。

バブリーか

バブリー。基本的に脳味噌バブリー。コスト感覚とか皆無。超バブリー。考え方としては「遣っちゃったら稼げ」。根本的に「コツコツとした儲けを積み上げる」ビジネスモデルではないし。
あくまで外資は、だけど。
タクシー券バンバン発行。飛行機はビジネス以上。平気で高い店を借り切る。仕事が終わると六本木に遊びに行く。そういう味を知っちゃって抜けられなくなってる人もいそう。まぁ日本で唯一とはいわないけど、有数のバブルっぽいところだと思う。…でも、もっとバブリーなのは投資銀行部分じゃなくて、マーケット部門(株取引とかやるところ。去年誤発注で1年分超の利益を吹っ飛ばしたみず○をイメージしてもらえばいいかと)だけど。

働いている人々

自他ともに認める「肉食獣」。基本的に目をギラギラさせて儲け話を探す感じ。儲けられないなら会社から放逐。よくこういうことが言われるけど、概ね事実だと思う。つーか、草食獣じゃやってられないでしょ、この商売。何社か転籍してる人には人間的魅力的な人が多いと思う(でもインターンとか採用の際に接点をもつ社員さんが「うわっ…」って思うような人であるわけはないわけで)。
で、視点を変えて横並びを見ると(要するにインターンで一緒だったのを眺めると)「こいつらと仕事したくねぇなぁ…」ってキャラが多い。絵に描いたような外資・コンサル希望者。ま、インターンにまで行ってるとこを見るに俺も大差ないんでしょうが。一言で言えば「下品」なのかなぁ。そりゃ中には凄く魅力的な人もいますけどね。カタカナ言葉とか教科書に書いてあるような分析手法(しかも時代遅れ)とか「常識を無視した」「流行の」「論理的思考」を大変重視されます。頭は悪くないんだろうけど、頭悪い。

プライベートや趣味

は、やりようによると思う。上手く仕事を回せれば多分そっちも充実させられる。ただ根本的に拘束時間は馬鹿みたいに長いから考えた方がいいかなぁというのが正直なところ。個人的に、これが趣味だ!というようなものが無いので別に問題にはならない。結婚して子持ちの人もたまにいる。「たまに」が重要。ほとんどは両立しないから仕事が終わって六本木とかに行くわけで…。
あと旅行とかの予定は全く立てられない。休みが不定期過ぎ。周りと労働環境が違いすぎるので友人関係も頑張らないと維持できない。難儀なところもいっぱいありますよそりゃ。

投資銀行残酷日記は参考になるか?

ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち

ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち

うーん。まぁボチボチ。ただあまりにマイナスの部分だけが強調されてる気はする。「大筋が事実」というのは実際働いている人々の一致した見解。