あちゃ

先日maya先輩と飲みながら日本型経営の三種の神器の成り立ちについて、ちょうど自分がやってたことだから解説してたんだけど…あー人間の記憶ってアテになりませんね。そんなわけで、一応俺がやってた教科書に基づいて「確からしい」というところを抽出。
そもそも日本型経営の三種の神器って言うのは
・終身雇用
年功序列型賃金体系
・企業別労働組合
の3つを指します。
利益分配型賞与(いわゆるボーナス)とか社内訓練(いわゆるOJT)とかメインバンクも特徴的。

社内訓練

社内訓練をするってことは今までの伝統的な徒弟制を排していくということ。パワーバランスの問題で、経営サイドが職人よりも力を持つためには不可欠な要素。一子相伝の技術だけじゃ会社は成り立ちません。社内訓練制度は1890年代に造船業で初めて実施され、1900年代には大規模産業で実施されるようになった。1920年にはほとんどの大企業ではなんらかの社内訓練を実施。

終身雇用

終身雇用制度は1920年代に導入される。
終身雇用といってもあらゆる労働者に一斉に適用されたわけではない。企業側としては定年前の社員を解雇しない努力を、社員は一企業に長居するという努力をすることを表す。また、労働者の20〜30%(ほとんど男性)にしか適用されなかった。

年功序列型賃金体系

同様に1920年代に導入。年功序列型賃金体系といっても年齢で完全に給与が定まるわけではなく、たしかに昇給は年齢に大きく関係するが、年齢+成果で差がついていく。ただし、有能な人間が一気に出世するということは基本的に無い。
終身雇用・年功序列型賃金体系の二つはいわゆる雇用の保障という点から見ることが多く、まるでこれらが日本の家父長的伝統(浪花節としてもいいのかな)に由来するかのように論じているのは歴史的には間違い。
経営サイドからすれば雇用の保障なぞ、なるべくしたくない。だって毎年毎年同じかそれ以上の利益が確保されるならいいけど、そんな保証は誰もできないわけで、なるべくならコアとなる人間以外は適当にレイオフするなり短期雇用で雇える状態がベストでしょう。
一方で、労働者としては不況期は雇用の保障をして欲しいけど、好景気には自分の雇用上の流動性を確保しておきたい。要するに買い手市場になったら保護して欲しいけど、売り手市場になったら放っておいて欲しいってゆーね。
こんな風に相反する利害関係がある中で折衝していく中で年功序列型賃金体系と終身雇用はほぼ慣習のような形で成立してきた。経営側から善意で提供されたってわけじゃなくて、結構な対立を経ての結果。ちなみに、いわゆるブルーカラーに対しては戦後に至るまで終身雇用も年功序列型賃金体系も適用されてないケースが圧倒的に多いようです。
日本史やってたって人には既出の知識かもしれないんだけど、日本の輸出超は30年代あたりから世界的には問題になってたそうで。ヨーロッパからは盛大にバッシングを受けてます。ま、当時は超絶円安状態だったワリに物は作れてたってのがあるんだろうけど。