ぜみぜみ

毎週火曜日はゼミの日です。
今年はゼミしか入れてません。
…でないと死ぬので。特に朝とか。
今年はA・D・チャンドラーJr.著『経営者の時代〜アメリカ産業における近代企業の成立〜』。ようやっと経営史の祖、チャンドラーの本に突入です。
中身としては要するに「ビッグビジネスの成立には鉄道が必須!」
なんです。鉄道マンセー電信マンセー
鉄道が無ければ階層別組織も出来なければ複数事業企業も誕生しなかった!
そんな感じ(ちょっと誇張してます)
階層別組織ってのは、まぁ近年は悪名高くなってますが、要するに官僚制の組織。マネジリアル・ヒエラルキー。ピラミッド型でトップとミドルとロアーがいて、系統だった意思伝達手段があって、上の命令は絶対でみたいな。でも組織設計する際は最も原型になるんですけどね。つーかちゃんと運用さえすれば、これほど効率的な組織設計は今後もないんじゃないかってゆー。まぁ自律的組織だとかネットワーク型組織だとかが取り沙汰されてますけど、あれはなんてゆーか、「フツーの」労働力活用方法としては難儀過ぎると思う。鉄道会社の定期性・運行の安定性の確保のためにはこの組織が必要不可欠ですよって話。
複数事業単位企業ってのは多角化した企業じゃなくて例えば「工場!」とか「販売所!」とか。ホントに専業で1つの機能しか果たさない単位。今で言うとなんだろうな。要するに生産する設備だけ持ってるとか、卸売りだけやってるとか、小売りだけやってるとか。まぁフランチャイズのコンビニ店を独立した企業だと見れば、アレ。ホンダの技研も研究開発だけ!やってるのかな。とにかく、経済が拡大するにつれて各企業体が単一事業単位しかこなせなかったのが、鉄道の普及によって速やかな情報伝達や物流が可能になったから複数事業単位を持てるようになったんですよって話。
とにもかくにも、アメリカにおける近代企業の成り立ちは鉄道無くしてありえなかったということをとうとうと語る。
本の焦点はチャンドラー自身が整理してますが8つの命題になってて。
1.マネジメントは市場メカニズムに優越する
2.マネジメントのためには階層制組織が必要
3.マネジメントが必要が出てきたのは通量(スループット)が増えたからである
4.集団化しておけば永続性が生じる(制度があれば続く)
5.マネジメント組織のトップは徐々に標準化されていく(テクニックでも、倫理規範の上でも。自覚、カルチャーの発生)
6.所有と経営が分離した
7.所有と経営が分離したため、企業のトップは企業の成長と拡大投資を指向する
8.管理的調整が市場による調整にとってかわる(原題は“The Visible Hand”、アダム・スミスの言った「見えざる手」は企業が代替するようになったってゆーのがこの本の壮大なテーマ)
一部かぶるものがあるんですが。
にしても、この人すげーや。
1章をとりあえずやったけど、壮大かつダイナミック。これを超える経営史家が前世紀中は出現しないわなぁ。これが超えられるときは、次なるインフラの転換としてIT革命を振り返って分析する人が出てきたときかな。
あ、過去の人のように書いたけどチャンドラーはまだ生きてます。
まだまだ研究する気満々みたいです。90近いけど。
Alfred Chandler
また後で書き加えるかな。