カリブの海賊死者の箱

パイレーツ・オブ・カリビアン
Dead Man's Chest
を見てきました。

ええっと。

ええっと。

製作陣は歯を食いしばって一歩前へ。



☆★☆
ネタバレと一部罵詈雑言を含むので、
読みたくない人はパスしてください。
☆★☆



俳優陣は大変いい動きをしてたと思うんですよ。
うん。
「ヒット作の2以降は駄作になる」というハリウッドジンクスをしっかりと打ち破るだけの動きを、俳優はしていました。

個人的なオススメはジャック船団の番頭役の白ヒゲ白モミアゲのおっちゃん。ああいうキャラ立ちをしているのは好き。まぁ主役とは懸け離れたキャラではありますが(名前を調べようとしたら公式HPにのってねー…)。
主役級だったらこれはもうジャックのヘタレっぷりに一票でしょう。てゆーかこいつ、こんなヘタレとしてキャラ立ちしてていいのかなってくらいいい感じにヘタレてて、逆に凄いなぁと。まぁヘタレとそうでない状態の緩急がいいのかもしれませんが。

ええと。

で、まぁ俳優はいいんだって。

問題は製作で。

まず何より許せないのがあの終わり方。
なんで映画館で安くもない観賞料を払って、CMが挟まれそうな終わり方する映画を見せられなきゃいけないのか。マトリックス2の終わり方も酷かったけど(アメリカのB級SFドラマみたいな終わりをしたアレを見たときの衝撃が忘れられないけど、アレのさらに斜め上を行ってる)
そりゃスターウォーズばりに背景やら設定が山のように積みあがってて、最初から4からしか作らないとか最早常軌を逸してるとしか思えない勢いで作るならいいと思うんですよ。まぁスターウォーズの場合、そもそも確かに連作ではあるけど個別に見てもまぁ戦える出来になってるからいいってのもあるんだけど。

でもパイレーツ2は単独の映画としては未完成。

1つの物語としてまとまってるならいいけど、まとまってないじゃん。登場人物の行動原理も理解できないし、誰も何も考えずにただ頭から蒸気上げて突っ走ってる。ちなみに行動が謎ランキングは1位・新任の東インド会社の提督だかなんだか、2位・囚われて谷に吊り下げられる海賊たち(自滅した方)、3位・デイビジョーンズ。いきなり三つ巴で戦い始める主役級たちもあの戦闘中は脳筋な感じ。

デイビジョーンズ、最初に登場したときに使った瞬間移動が二度と使われなかったあたりがポイント高いね。あとさっさとクラーケン使わないところとか、あんだけ人間を超越した存在のくせに寝込みであっさり鍵をとられるとか。てかお前寝る必要あるのか?

で、ここまで不満に思うのは結局終わり方が酷かったからだと思うのですよ。「頑張ってストーリーの筋を通して、キャラも立たせて、煩雑にならないよう整理して詰め込んだんですけどこれ以上一作に入れるのは無理だから次回作を御期待下さい!」ってのが伝わるような展開ならまだいいんですって。あーあ、しょうがないケド次に期待するか、って話になるから。
でもそうじゃないやん。

人食い族に食われそうになるエピソードなんて物語の文脈上完全に蛇足だし、そのくせ妙に長い。全体的に戦闘シーンが前作に比べてどれもこれも妙に長い。かと思うと、微妙にお金がかかってない(かけてない)。
「撮影してみたら1作としてはビミョーに長いけど、2作に分けるには時間が足りないとなったから、じゃああそことかここを伸ばしたり、いらないエピソード挿入して無理やり分けよう。その方が儲かるし。」ってゆー論理が働いたんじゃないかと邪推したくなってしまう。

現場の製作レベルでは凄くいい仕事をしてるんだけど、多分そこより階層的に上の方が馬鹿やってる感じが漂う、というのが結論。妙にバレバレなCG使ったり、クラーケンは正直、もう少しどうにかならなかったのかと思ったりするけど、でも映像作品としてのレベル、魅せ方は非常に良く出来ていると思う。ストーリー進行が駄目。

そんなわけで、大変面白いけれど、同時にかなりの駄作、というところが評価の落ちどころ。

どうせ並行して3を撮ってるなら、まとめてリリースして欲しかったかなぁ。同時に出しても普通に客は入ったでしょ。夏の新作ラッシュの中、興行的にパイレーツで2枠押さえるのがキビシイってのはあるかもしれないけれど。